東大寺の大仏(盧舎那仏)の見どころ|聖武天皇が願った、巨大な祈り

東大寺の大仏——聖武天皇が願った、巨大な祈り

大仏殿の扉をくぐると、そこに、見上げるほど巨大な仏が静かに座っている。奈良・東大寺の大仏(盧舎那仏=るしゃなぶつ)は、「奈良の大仏さん」として、誰もが一度は耳にしたことのある存在です。修学旅行で見たという人も多いでしょう。けれど、なぜ1300年近くも前に、これほど巨大な仏が造られたのか——その理由を知ると、大仏の見え方が変わってきます。

筆者は美術検定の勉強をしながら、日本史と美術を学び直しています。もともと歴史が好きで、「その仏が、どんな時代の、どんな願いから生まれたのか」を知るのが何より面白いと感じます。大仏の背後には、一人の天皇の、切実な祈りがありました。この記事では、東大寺の大仏の見どころを、時代背景もあわせて、観る前の予習としてまとめます。

東大寺の大仏(盧舎那仏)の基本情報

  • 発願:奈良時代、聖武天皇(しょうむてんのう)による
  • 造立:8世紀なかば(752年に完成の儀式「開眼供養」が行われた)
  • 大きさ:像の高さ約15メートル。銅で鋳造された巨像
  • 安置:東大寺 大仏殿(金堂)/世界遺産「古都奈良の文化財」
  • 場所:奈良市

この大仏を造るには、莫大な量の銅と、途方もない人手が必要でした。国じゅうの力を結集した、まさに国家的な大事業だったのです。

見どころ

1. 圧倒的な大きさ——約15メートルの仏

大仏の最大の見どころは、なんといってもその大きさです。座った姿で約15メートル。手のひらだけで、大人が何人も乗れるほどの大きさがあります。実物の前に立つと、その圧倒的なスケールに、自分がとても小さな存在に感じられます。写真では決して伝わらない、この「見上げる体験」こそ、大仏に会いに行く意味です。

2. 盧舎那仏とは——宇宙を照らす仏

この大仏は、「盧舎那仏」という名の仏です。盧舎那仏は、宇宙のすみずみまでを、あまねく照らす光の仏とされます。世界のすべてが、この仏の光のなかにある——そんな壮大な世界観を表す仏だからこそ、これほど巨大に造られたのです。ただ大きいだけでなく、その大きさに意味がある。そう知ると、見上げる気持ちも変わります。

3. 世界最大級の木造・大仏殿

大仏を納める大仏殿(金堂)もまた、見どころです。現在の大仏殿は江戸時代に再建されたものですが、それでも世界最大級の木造建築として知られます。巨大な仏と、それを包む巨大な建物。人の手が、これほどのものを造り上げたのかと、二重の意味で圧倒されます。

なぜ大仏を造ったのか——聖武天皇と鎮護国家

大仏が造られた奈良時代は、じつは苦難の時代でした。疫病(天然痘)が流行して多くの人が亡くなり、飢饉や反乱も相次ぎました。人々の不安が高まるなか、聖武天皇は、仏教の力によって国を安らかにしよう(鎮護国家)と考え、盧舎那仏の造立を決意します。天皇は、身分の上下を問わず、多くの人々に協力を呼びかけました。大仏は、時代の不安のなかで、人々の平安を願って造られた、巨大な祈りの結晶なのです。

何度も甦った大仏

じつは、今私たちが見る大仏は、奈良時代のままの姿ではありません。長い歴史のなかで、大仏は戦乱による火災で、二度も大きく損なわれました。そのたびに、人々は大仏を再建してきました。現在の頭部は、江戸時代に造り直されたものです。台座など一部に、奈良時代当初の部分も残っています。壊れても、そのたびに甦る——大仏が今もそこにあるのは、千年以上にわたって、それを守り伝えたい人々がいたからなのです。

美術史・美術検定での位置づけ

東大寺の大仏は、天平時代の仏教美術を代表する存在として、美術検定でも日本美術史の重要作品です。「聖武天皇」「鎮護国家」「盧舎那仏」といったキーワードは、あわせて押さえておきたいところ。同じ天平時代の阿修羅像や、少し後にやってきた鑑真とあわせて知ると、この時代の仏教文化の熱気が伝わってきます。

実物はどこで観られる?

東大寺の大仏は、奈良市の東大寺 大仏殿で拝観できます。奈良を代表する名所で、多くの人が訪れます。大仏の柱の一つには、大仏の鼻の穴と同じ大きさとされる穴が空いていて、くぐり抜けにも人気があります。周辺には二月堂や南大門(運慶らの仁王像)などの見どころも多いので、あわせて巡ると、天平の世界を深く味わえます。

観た記録を残すと、記憶はもっと鮮明になる

仏像や名建築は、実物の前に立つと、その大きさや、その場の空気の重みが、写真とはまるで違って迫ってきます。そうして心が動いた瞬間を記録に残しておくと、後から驚くほど鮮明に思い出せます。「いつ・どこで・何を観て、どう感じたか」を残しておくと、学びも思い出も積み重なっていきます。

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